1、漢方治療をご希望の方へ
2、漢方薬って、どんな薬?
3、漢方薬の基本的な考え方とは?
4、同じ病気でも人によりお薬が違う?
5、漢方薬とハーブや民間薬との違いは?
6、漢方薬は長い間、飲み続ける必要があるのでしょうか?
7、漢方薬の効果を感じるのは、飲み始めてからどのくらいでしょうか?
8、漢方薬は生薬(天然物)から作られているので、安全ですね?
9、アレルギーとは?
10、気管支喘息の一般的な治療方法
11、アトピー性皮膚炎の一般的な治療方法
12、アレルギー性鼻炎の一般的な治療方法
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漢方薬は、何種類かの薬草(生薬)の根・茎・葉など組み合わせ(処方)それぞれの人に合うように、長い時間をかけて作られたものです。
小さくきざんだ薬草を煎じてのむ、伝統的な煎じ薬と、煎じ薬を乾燥させてアルミパックに入れ、携帯できるエキス剤が利用できます。
漢方薬は漢方医学という東洋医学の治療法の一部で、他に針灸、養生、按摩、気功なども、漢方医学の治療法です。
これらはみな、誰もがもともと持っている、病気と闘い、治す力(自然治癒力)を高め、からだを整えることを基本にしています。
漢方医学では、病名で診断することだけでなく、患者さん一人ひとりを漢方医学的なものさしで心身の歪みをとらえ、それを正すような漢方薬を使い分けていく、いわゆる「オーダーメード」の治療です。
ですから、同じ病気でも患者さんの状態によってのむ薬が違う(同病異治)、また、ひとつの薬がいろいろな病気に応用される(異病同治)こともあります。
漢方薬は、何種類かの生薬を組み合わせて作られたものですが、「民間薬」は、一種類の植物だけを使います。
たとえば、ゲンノショウコがお腹にいいとか、ドクダミが肌にいいなどと、身近な植物をある症状に使ってきたものです。
また、最近ブームになっているハーブも、ヨーロッパなどの民間薬で、料理や健康増進のために利用されています。
たとえば、風邪の初期で、何となく頭が重い、熱っぽい症状がある時に、葛根湯や麻黄湯を飲み布団を被ってねむれば、サッと汗が出て楽になります。また、むくみがあって、のどが渇き、尿が出にくいときに、五苓散や柴苓湯をのめば、これらの症状は即座に改善されます。
漢方薬は長い間飲み続けないと効かないものもありますが、早いものでは15分から2時間で症状を改善する、即効性のものもあります。すなわち、漢方薬は、
◆今、苦しんでいる症状を素早く取り除く作用(即効性)を表すもの
◆抵抗力が弱く風邪をひきやすい体質、アレルギー体質など、体の根本から治す作用を表すもの
の二面性を持っています。そして、後者のほうが得意分野であるため、「漢方薬は長くのまないと効かない」と、思い込まれている人が多いようですが、決してそれだけではありません。
漢方薬には、一つの症状だけでなく、いくつかの症状に対して効果を発揮します。そのため、効果の表れ方が症状によっては直ぐのものと、直ぐでないものがあります。
何らかの変化が現れる時期として、慢性疾患では2週間から4週間、皮膚疾患の場合は少し長めで6週間前後と考えて下さい。
いいえ、天然物といえども薬であること、天然物にも有毒なものがあることなどから、漢方薬にも好ましくない作用が出ることはあります。
漢方薬の好ましくない作用として一番多くあげられるものには、味や香りになじめなくて吐き気が起こる、のむ量が多くてお腹がふくれる、のみ始めたときにお腹がゆるくなる、または、便秘になるなどがあります。その他、ある種の漢方薬では、胃の弱い方は食欲が落ちることもあります。
そして、アレルギー体質の人が漢方薬をのんだ場合、頻度は少ないですが、発疹などが出ることもあります。何か普段と違う症状が出た時は、遠慮なく医師や薬剤師に連絡をしてください。
身体には、外から入ってきた外敵を、外へ追い出す働きがあります。そして、一度入ってきた敵にたいして、次はよりすばやく排除する仕組み(免疫反応)が備わっています。しかし、そのしくみが、適度に働いてくれれば身体に好ましい反応なのですが、時にこの反応が暴れだすことがあります。これが、アレルギー反応と考えてください。
そして、アレルギーがおこるには、その原因となるもの(アレルゲン)と身体の中にあるアレルギー反応をおこす物質や細胞が関連しあってアレルギー反応が起きています。
アレルギーの病気には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、金属アレルギー、化学物質過敏症などがあります。アレルギーを示す患者さんは年々増加しています。衣食住の生活環境の変化を問題としている説もありますが、現在その原因は明らかではありません。
アレルギーの個々の疾患について現在の一般的な治療法をお話します。
気管支喘息の一般的な治療方法
アトピー性皮膚炎の一般的な治療方法
アレルギー性鼻炎の一般的な治療方法
現在は、吸入ステロイド薬が使用されるようになり、喘息発作による死亡は減少しています。完全に治ってしまう疾患ではなく、内服薬と吸入ステロイド薬や長時間作用型の吸入β刺激薬を使用し発作の無い状態を維持(コントロール)する治療が中心となっているようです。当院ではこれらの治療に加え、漢方薬の併用〔五虎湯(ごことう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、柴朴湯(さいぼくとう)など〕をすることで、より早く症状を軽快することがあるためにその使用をお勧めしています。
今や国民の3割がアトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息などのアレルギー性疾患を持っているといわれており、これらの疾患はもはや国民病とさえいってよいと思われます。アトピー性皮膚炎については、特にステロイドの塗り薬に対する一部の偏った情報により、ステロイド忌避、拒否症の患者が増加し、さらに医学的根拠のない治療法が一部の医師あるいは医師以外のものによってなされ、患者を肉体的、精神的、経済的に苦しめている実情があります。
当院では、必要と判断する時にはステロイドの塗り薬(外用剤)やプロトピック軟膏(アレルギーを起こす免疫を抑える薬)も使用します。しかし、連日だらだらと使用してもらうのではなく、間歇使用(例えば、4日ステロイドの塗り薬を使用し、3日保湿剤のみ)をしていただきます。このような塗り方をすることで、皮膚がうすくなったり、にきびができやすくなるステロイドの副作用が出にくくなります。そして、漢方薬〔黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、加減一陰煎(かげんいちいんせん)、消風散(しょうふうさん)、梔子柏皮湯(ししはくひとう)など〕と抗アレルギー剤も必要な場合は併用し、皮膚の炎症をできるだけ早く抑えるように心がけています。確かに、治り難い病気ですが、スキンケアと内服薬で身体の内と外から治療していきます。
注意:ステロイドの副作用と言われている、顔が丸くなったり、体重が増える、高血圧や糖尿病になりやすいなどの症状は、飲み薬のステロイドを大量に長期間使用した場合に出てくるもので、塗り薬ではそのような症状は出てきません。
アレルギー性鼻炎は、発作性反復性のくしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりが特徴となっています。アレルギー疾患のひとつで、IgE抗体(アレルギー反応をおこす抗体)によるアレルギー疾患で、スギ、ブタクサ、室内塵、ダニなどが原因です。
スギ花粉症もアレルギー性鼻炎の1つです。くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりが主な症状です。
アレルギー性鼻炎は好発時期から通年性と季節性に分けられ、前者は室内塵(ハウスダスト-HD)、ダニのアレルギーが多く、後者はほとんどが花粉症です。なお室内塵は雑多なものを含んでおり、その中で1番多くアレルゲンとして働くのはダニですので、ほとんどの場合、室内塵アレルギーはダニアレルギーを意味します。なお食物抗原によるアレルギー性鼻炎はごく少ないものと考えられています。
水のような鼻水、鼻づまりに効果のある薬には眠気がおきやすいものですが、漢方薬のなかにはこのような時に眠気を起こさせないものもあります。ご希望の方はご相談ください。